鹿はしばらくキャンプ場に出たり入ったりしていたが、そのうち来なくなった。
日没まで時間はたっぷりあるので、再びゆっくりカレーを作る。
肉を炒めて、ジャガイモを刻み、玉ねぎ、人参も切り刻む。
昨日買ったバカでかい茄子も入れるが、コッヘルから溢れ出そうになったので少しにした。
ルーを溶かしていくと辺りにぷ〜んとカレーの匂いを漂わせた。
キタキツネが前を横切る。
ゆっくりゆっくり一箱分のルーを溶かしていると、下から荷物を持って上がってくる人物がいた。
もしかして僕の隣にくるのではないかな〜。
せっかくもう少しで日も落ちるのに…。
実際、カレーを作っている最中に色んな人が僕の隣をチラっと見ては遠慮してなのか、来る者はいなかった。
「あの〜、隣、いいですか〜?」
やっぱり来たか、、
「ええ、どうぞどうぞ!」
ちっ、俺の王国が崩れてしまったぞ。
これでもう夜は軽く音楽もかけれないし、気を使って極力静かにしないといけないな…。
肩に何重にもかけた黒い重そうなバックをドサドサ地面に降ろす。
年は40後半から50歳前半の男は、すぐテントを建て始めた。
しかし、テントがびっしょびしょに濡れていた。
うわ〜、一体どこに泊まったんだ?こっちはずっと快晴だったのに。
ズルっズルっ、ズルズル〜っっとテントを引っ張り出して辛そうにテントを建て終えた。
「どうしてそんなに濡れているんですか?」
「昨日、稚内に泊まったんですけど、大雨でね〜」
確かに道北は雨マークが出ていたのを思い出した。
「何か、ずっと雨雲の動きに合わせて移動していたみたいで、ずっと雨でした」
まあ、そりゃそうでしょう…、だって雨マークが出ていたんだから。。
どうやらバイクで来たようだ。
でもバイクに搭載するには明らかに多い荷物量に見えた。
カレーはグツグツと煮立ったまんまで、木片チップを少しずつ入れて中火で煮込んでいた。
「じゃ、ちょっとメシを買ってきます」
「ええ?今からですか?」
「ええ」
雨が降っている地域に寝泊まり、バイクに積むには明らかに多すぎる荷物、おまけに食料を後で買いに行くという二度手間。
これはかなり要領の悪い奴が来たなとその時は思った。
続きます
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