あれ?これは僕のだ。
よく見ると他にもニンニクとかも散らばっていた。
しまった!キツネにやられた!
あれだけKさんが注意をうながしてくれていたのに、一つだけ袋がテントの外に出ていたかも知れない。
気まずさからKさんにはバレないように他にも散らばったものを拾って集めた。
だけど、どうやらパック類が多かったので何も盗まれていないようだった。
でも一応エキノコックスも心配だしニンニクは捨てた。
それより僕がいない間に所有物を何かされたという事でどうも気持ち悪かった。
あっ!でも、、もしかして人間という事もありえる。
テント内に入って持ち物をチェックした。
BOSEのワイヤレススピーカーは27,000円くらいするから真っ先に有無を調べた。
あれさえ盗まれていなければ後はそんなんでもない。
まだ熊の湯から上がってきて汗がダラダラ出ている。
かきむしるようにリュックをチェックした。
あった!
大丈夫だ。。
やっぱりキツネか。
少し冷静になれて他も一応調べたが何か取られた形跡はない。
隣のKさんに今日のお礼言ってテント越しにおやすみなさいと言い合った。
汗びっしょりになって濡れたTシャツとパンツを新しいものに着替えた。
まだ熱がたっぷり体に充満しているので寝袋は広げたが入る事ができない。
クーラーボックスから氷を出してウイスキーのロックを横になりながら飲んだ。
月が明るい。
テントから見える景色はどれも動かない。
フクロウのホーホーという鳴き声が遠くで聞こえる。
風が少し吹く。
そしてやっぱり月だけが明るい。
しばらく外を見ながらウイスキーを飲んだ。

さっきむかしKさんが温泉に入りながらウイスキーを飲んだ話を聞いたからなのか、格別にうまかった。
キャンプで飲むウイスキーは普段の倍ウマく感じるのは何故だろう。
ビールはそんなに変わらないのに。
やがて少し冷えてきたので寝袋に入った。
テントのチャックも閉めて寝袋から顔をほんの少し出して静かに意識が遠のくのを待った。
2日目が終わろうとしている。
となりのKさんはまたガスバーナーをシュコシュコやって何かを調理して何かを食べていた。
体は温かいままぐっすり寝た。
今までこんなに気持ちよくテントの中で寝た事はなかった。
でもおとぎ話が終わってしまうようで、寝に入る瞬間はちょっと名残惜しかった。
続きます。
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