2015年9月30日水曜日

3泊4日道東巡り 3

僕が入り口に近い場所にテントを張ったというのもあるが、いずれにせよバイクで後からきた奴はエンジンはすぐ止めなくてはマナー違反だ。

ぶん投げの管理人がいない無料の野営場なのでライトをつけないと真っ暗でわからないのだろう。
さっきはジムニー男がきて少し心強く思ったが、もうこれ以上は迷惑な感じになっていた。
そんな事をブツブツ思っているともう1台バイクがやってきた。
2台が僕のテントの真横でブルンブルンやるんでレースのスタート地点にテントを張っているこっちが悪い様な気にもなってきた。

「どうします?」
「ああ〜、、奥空いてる?」
「ちょっと、僕見てきます」
「ああ、すまんね」


一人がエンジンを止めてバイクから降りて奥に歩いて行った。
待たされたもう一人はしばらくエンジンをブルンブルン鳴らせてボーっと動かなかった。
とりあえずこの濃霧と暗闇を走ってきて疲れたんだろう。
でも落ち着いたのか、それとも僕のテントに気づいたのかエンジンをようやく切ってくれた。

「ダメですね〜、何かキャンピングカーが停まっていて場所がなさそうです」
「そっか〜、いやもうここでいいだろう」
「そうですね、ここにしましょう」

えっ?ここ?

あれ?ここら辺はもう草の面積がないはず、、。
ここはキャンプ場と言っておきながら草むらステージは本当にわずかしかない。

カンカン!

あっ、うち始めた!

カンカン!
カンカン!
カンカン!カンカン!

そこはもう完全に砂利が土にめり込んでほぼ石みたいな所だから無理だろう、、。

カンカン!
カンカン!

「ああ〜刺さんね〜」
「そうですね〜」

そうそう、もう絶対に刺さらないんだから違うキャンプ場に行け、、。




「そうだ、さっき鹿にぶつかりそうだったよな」
「あはは!そう!めっちゃビビリましたよ!」
「いや〜マジ間一髪!」
「あそこでコケたらどうなっていたかわかりませんね!」
「あはは!俺もその後必死でかわしたけど、マジびっくりしたわ!」

いやいや、僕だったらテントがちゃんと建てれるか決着ついていない段階でそんな陽気な会話はできないだろう。
と言っても、照明もほとんどないふきっさらしの岸壁の暗闇はふいをついて心の隅にぐいぐい入ってくる。
会話でもしないとやってられないかも知れん。

確かに今の会話で気持ちが楽になったのか、再びペグを打ち込む作業にも勢いが増した。

カンカン!
カンカンカンカン!
カンカンカンカンカン!
カンカンカンカンカンカン!

それとも、さっきの鹿とぶつかりそうになって助かった記憶の方が強烈で、こんなテントが建つかどうかの問題なんて気にならないのかもしれない。

しばらく波の音と金属のぶつかり合う音を交互に聞いていた。
そしてやはりその音も慣れてきて気にならなくなってきた。
さっきも思ったけど、やっぱりすぐ近くに人間がいる安心感の方がだんだん心地よくなってきた。

耳元で小さくiPhoneの音楽を聞きながらいつの間にか寝ていた。

カンカン!
カンカンカンカン!
カンカンカンカンカン!
カンカンカンカンカンカン!

彼らがいつテントを建て終えて、いつ寝に入ったのかはわからない。



続きます。










2015年9月29日火曜日

3泊4日道東巡り 2

まずは荷物をドサドサと車から降ろす。
でも何となく本当にここで泊まるのかどうしようか考えながらだったので、すごくゆっくりした動きだった。


でも濃霧なだけで雨も風も無かったのでタープを立て始めた。
それにあまり考えている余裕はなく、ここでテントを張って寝ること意外、これからの行動に選択肢がなかった。

シートを広げていつも通りYouTubeで学んだ一人でタープを組み立てる方法を順序よく行っていると、最近建て方を完全に覚えたので少し面白くなってきた。

だけどとにかくペグが刺さらない。

ハンマーでしつこく叩いても半分くらいで止まる。
刺せそうな場所を色々探した。
だけどどこも砂利が地面に混じっているのでほとんど無理だった。
だから角度とかキチンとつけれず、とにかく何とかかろうじてペグが刺さった部分でロープを張るしかなかった。



今回は時おり風もビューっと吹いて倒れたりとかなり疲れた。
でも何とか建った。
かなりいびつなのでイヤだったが仕方が無かった。
タープさへ建てば、たとえ雨が降っても風が吹いても中で作業がとりあえずできるからとりあえずもう安心。


風の吹く方向に車を壁にして少しでもタープにダメージがいかないようにした。
それでもペグが深くまで刺さらないので途中抜けたりして何度か修正した。


遠くから見るとこんな感じ。
左には一応キャンプ場の看板がある。
場所的には一番良かったが、広々と横たわっているであろう太平洋は全く見えない。



景色などはもうどうでもよく、お腹が減っていた。
途中釧路のコープで買い込んだ食料の中から大量に袋に入った安売りの豚の肉を焼く。
この金網は100均のもので一回使ったら捨てます。

カリっと焼けた肉を塩こしょうかけて食べた時、すごく心が落ち着いた。
音は波が岸壁に打ち付ける「ドドーン!」とだけ聞こえる。
お腹に何か入ると安心すると言うのは完全に人間の本性だろう。
幸せの判断は明日は確実に何かを食べて生きられるという確信だと何かの本で読んだ。
なるほど「食べる=幸せ」はほとんど正解なんだろう。



こんなでっかい茄子も安かったので買った。
もちろん細かく切って醤油と七味唐辛子で食べた。

そんなのんびりと旅の疲れを癒していたら隣にジムニーに乗った男性が僕と同じく一人で来た。
一番の場所は僕がとってしまったので,仕方なく看板を風除けにしてテントだけ建てていた。

ペグを叩く音をが聞こえる。

「ふっふっふ〜、、刺さらんだろう?」と僕は自分の労苦を味わって欲しい思いで焼き茄子を堪能しながらニヤニヤしていた。

ちなみに僕はこの場所でペグを2本も曲げて使い物にならなくなった。
一応アマゾンから予備で安いペグを少し買ってあるとは言え、ここで全部ダメになってしまうのではないかと思うほど地面は固かった。

カンカンカン!
カンカンカン!
カンカンカンカンッッ!




予想通りしばらくはペグを打ち付ける音が響いた。
本来ならうるさく感じるのだが、先に終わらせた優越感と人がそばにいるという安心感のダブル効果があったので実に心地よかった。


初日なのであまり盛大な事は控えて袋ラーメンのラ王を食べて暗くなってきた時点でテントに潜り込んだ。

ジムニーの兄ちゃんも何とかテントを建て終えて静かになっていた。

また波の打ち付ける音だけの世界になった。
コーヒーを湧かして飲んだりしていたが、8時にはウトウトしてきて寝袋の中に入った。
今回はブルーシートを2枚下に引いたので地面からの寒さも少し軽減されるだろう。
運転の疲れと緊張が緩んだせいで割とすぐ寝に入った。






しかし、





ブルン!ブルン!ブルッン!

バイクがこうこうと僕のテントをライトで照らしながら入ってきた。
真っ正面から思いっきり光りを浴びせられた。
脱走犯がサーチライトで照らされたベタなシーンを思い出した。

でも目が覚めた瞬間は何が起こったか理解できなかった。
予想外の事は常に起きつつある。
とりあえず恐怖が先にきて怒りが遅れてやってきた。


続きます。









2015年9月28日月曜日

3泊4日道東巡り 1

今回のシルバーウィークは3泊4日で一人でキャンプをしてきました。


キャンプというより、旅という感覚の方が比重が大きかったです。


計画としては知床に行きたかったので、釧路経由でまずは1泊。
そしてまだ北海道の中で行った事のない納沙布岬を周り知床の羅臼で2泊目。
最後は真ん中付近の然別湖で3泊と割と念入りに試行錯誤して考えたルートです。

実際はこの計画を悶々と考えている期間が一番楽しかったりするのでした。


荷物は前日から忘れ物が無い様に余裕をもって車に詰め込んでいきました。
スプーン一個無いだけでもえらい不便になるのがキャンプなのです。


昨夜がSHUUN展のパーティーでその後も飲んだりしていたので、家に帰ってきて寝たのが2時くらいだったのだけど、朝ジョギングしているおかげで体力がついてきたのか、意外と早朝出発も苦ではなかったです。
何より一人で3泊4日も旅するなんて、ほとんど初めてに近い体験なのでテンションも上がっていました。

行きは高速をフルに使って釧路まで飛びました。



着いたのは昼過ぎあたりで、天気は快晴。
釧路はやはり思ったより大きく、港町らしく独特の発展を遂げている印象です。
苫小牧によくあるスケールの大きいコンビナート的な建造物が多いのと漁師の活気が合わせもった賑やかな雰囲気があります。



今回まず来たかった場所の一つに釧路市立美術館。
ここはよくいい展覧会をやっている印象が昔からあります。
あれ?これどこでやっているんだろう?と開催場所をみたら釧路っていうのがよくありました。


絵ではくて少し残念なんだけど、テレビでも見た事のある三沢厚彦の「アニマルズ」がやっていました。
偶然にもSHUUNの個展と同じタイトルだった。

とはい言えアニマルズと言えばまず「朝日のあたる家」のあのバンドがくるのか。
まあどうでもいいか。




この2体は入り口付近にあった撮影OKのものです。
独特のフォルムです。
木彫りを始める前のデッサンの素描も見せてくれますが、何度も線を引っ張ってイメージにある何とも言えないどっしりとしたフォルムを描こうと苦心しているのがわかります。

でも彼の表現したいもは2次元では具現化できないのだと見ていて思いました。
もし彫刻がなくて、絵で表すしかなかったらどうなっていただろうと少し興味があります。




最大級のペガサスなんかは僕の身長の2倍くらいあります。
確かテレビのコメントで彫刻はどれも実際の動物の大きさに合わせて作ると言っていたのを思い出した。
もちろんペガサスは空想上の生き物なので、彼の想像の範疇だけ大きくできる訳だ。

というか、ペガサスが作りたかったという事ではなくて、実際の動物の大きさに合わせていますなんてルールを作ってしまったものだから、バカでかいものを作りたくなった時に題材として空想上の生き物にするしかなかったのだと思う。




見所がたくさんあってすごく面白かったのですが、見に来ている人が少なくて、ちょっともったいない印象を受けました。
きっと連休に合わせて子供受けを狙ったはずなのにね。




美術館を出ると今回の旅の一番目の宿泊地「来止臥(キトウシ)野営場」を目指した。
このキャンプ場は釧路と厚岸の中間辺りにあり、管理人もいない無料の野営場だ。

事前に水は使えないと知っていたので釧路のスーパーで食料と水を多めに(1.5ℓ3本)買い込む。

釧路は晴れているところと霧でガスっているところが極端に分かれていた。
野営場に近づくにつれて濃霧になりライトを点灯しながら進む。




着いた。

完全に濃霧。

霧の向こうは太平洋。

奥に客は二組しかいなかった。
いたけどテントなどは張っていなくキャンピングカーだったので、これからここに寝床を作る不安が出てきたが、あまり深く考えずに車から荷物を降ろし始めた。



続きます。




2015年9月25日金曜日

SHUUN展

わが友のSHUUN展「ANIMALS」がクロスホテル札幌で開催しています。
アニマルズと言うタイトルですが、彼曰く動物という訳ではないそうです。




公開は今月の初めなのでもう結構経っていますがオープニングパーティは先週だったのです。
パーティなどと言うものなどに馴染みがないので少し緊張しましたが、お酒も入ってガヤガヤとしたなか彼の絵を見るという不思議な空間が楽しかったです。




彼は今年も勢力的に沢山の絵を描いていました。
その労苦が報われたと同時に解放された日でもありました。

会場では彼の集大成とも言える作品が所狭しと飾られています。
どれもすごい存在感を示して、まさにSHUUNワールド一色です。
数年前にホテルを彼の作品だけ飾るなんて思ってもいない事だったので、よく考えるとスゴいことだな〜って思います。
他にもまだまだ飾られていない作品もあって、アレもコレもみてもらいとか思わずにいられません。

今回の為に仕上げた新作を含め、普段はパソコンの画面でしか見た事にない作品は何倍にも増して魅力的に見えました。
生で見てライブ感がある絵と、そうでもない絵がありますが、彼のは生で見てもらわないと体験できないモノがあります。

絵画鑑賞というものを越えて、未知のものへの体験と言う意味で、普段絵に興味のない人も足を運んでもらいたいです。
ホテルの中には無料で誰でも入れて閲覧できますので、お近くにお寄りの際は見て下さい。

11月末までやっています。

こちらでチェック↓
期   間 : 2015年9月1日(火)~2015年11月28日(土)
会   場 : クロスホテル札幌 2F(札幌市中央区北2西2)
主   催 : クロスホテル札幌
キュレーション : クラークキャラリー+SHIFT
協   力 :まちなかアート