井上陽水のライブに行ってきた。
昔から好きだが、限られた好きな物リストの中にいつも入れていないアーティストです。
でも結局唯一無二のオリジナル性は一向に色褪せる事なく、いつ聴いても古さを感じない特別なものがあるので、定期的に聴く時期というのがあります。
平日なので仕事を早めに切り上げ、家に帰って軽い用意をしてすぐ地下鉄駅に向った。
ニトリ文化会館に着いてみると、ものすごい人だかり。。
チケットが9,000円もするがもちろんソールドアウト。
年齢層は当たり前だが50代後半〜60代の方が多かった。
若い人は皆無と言った感じです。
9,000円という高額な金を渡しているにも関わらず、この入場は結構雑に扱われる。
中には着物を来ているご婦人やら年配の裕福層が多いので尚更このぞんざいな感じが強調される。
1月の先行予約の開始日の開始時間に即抽選に申し込んでチケットを穫ったのですが、席は意外と後ろの方だった。
もしかしたら、とったはいいものの、いつまでもコンビニへ受け取りに行かなかったからかもしれないが、わからない。
開始時間6時30分なのに40分くらいに陽水は出てきた。
どのライブに言える事だが、開始時間にきっちり始まってほしい。
ジラして高揚感を高めているかもしれないが、この10分の遅れは普通に謝ってもいいのではないか。
何と言っても何度も言うが9,000円も払っているんだから。
曲はカナリヤから始まった。
暗い曲から始めるあたりあまのじゃくな感じが出ている。
初めは音にあまり慣れなかったが、じょじょに普通になってそのうち実に心地よい感じになった。
やっぱり生の音はいい。
曲の合間合間にトークがあるのだが、これがかなり長い。
初めは長すぎではないかと思ったが、面白いのでそのうち曲よりもずっとしゃべっててくれても構わないと思えてくるほどだった。
でも振り返ってひとつ話の内容を思い起こすと、
陽水が興味本位で高級ブティックに入って
仕事のために結婚や恋愛をあきらめたようなキャリアウーマン風の店員が迎えてくれて、シャツを勧めてくれた。
ジャケットは高いのでシャツくらいだったらいいかと思う。
実際、試着してみると本当に肌触りがよくて、気に入ってしまった。
会計の段階でもう一つ別のシャツも勧められたので、ついでにじゃあとそれももらう。
店員の電卓で打ってきた金額をみてその高額な値段に青ざめてしまった。
ちょっと高すぎると思い、話をごまかそうとやっぱりジャケットにしようかなーと一番安そうなジャケットを指さしたら自分のジャケットだった。
という話ですが、特別面白い話と言うわけではない、、と言おうと思ったのだが、、絵で表してみたらきっと面白くなくなるだろうと思ってたのに、意外とまあまあ面白いか、、。
でも、彼の独特の間や、抑揚のついた居心地のよい低音によりこの話はもっと大化けして、会場は大爆笑にかわる。
はやく曲やらないかなーと思っていた僕も普通に笑ってしまった。
改めて面白い出来事があるのではなく、面白い空気があって笑いがあるのだと思った。
そして自分で話終わって一人で少し笑うあたりなんか、もうまったく普段通りのままの自然体で、見ている方もそこらへんにいるおじさんのように緊張感がなくなってしまう。
じゃっかん、オネエが入っているのも面白い要因かも知れない。
それにしても9,000円払って平日にみにくる客がこれだけいる人が、値段に青ざめたなんて何を言ってるのかと思った人も少なくないはず。
アンコールのあとの夢の中へや渚にまつわるエトセトラあたりになると初老と言っても過言でもない人達がほとんど立ち上がり、ものすごい盛り上がりを見せた。
最後は結詞で終わり、何度も何度も感謝の言葉を投げていた。
それは心から言っているもので、すごく達観された謙虚な気持ちだとわかる。
音楽が好きで、いまだに大勢の前で歌える幸せを深く噛み締めている。
会場を出ると雪がチラチラと降りてくる静かな夜で、ライブの熱気で少し暑かった事もあり気持ちよかった。
帰り道はずっと井上陽水を聴いて帰った。