2016年2月22日月曜日

とうとうやりやがった

風邪も治ってきて体調が良くなってきたので、久しぶりに部屋の掃除をしようと思った。

今一度、この住まいの物のレイアウトや、効率の事を考えてみようと常日頃思っている最中だったので、手始めとしてタンスの奥の物を色々みていた時、


専門学校の頃から使わないのにずーーーーーっと持っていた20色くらいあるインクの瓶の中で、蛍光色の緑が落ちて割れた。

ずーーーーっと僕の人生に無駄についてきて、とうとう最後は派手にやりやがったなとしか思えなかった。

そして落ちた先にあったものが装丁の美しさに魅了されて買った、言わばジャケ買いの谷川俊太郎の詩集「わたしとあなた」に落ちやがった。


詩集なので、10分もあれば読み終えてしまう文字量ですが、装丁が渋い茶色の布貼り上製本の前面に、青・白・金の3色の箔を押したまさに工芸品ような本なのです。

「一番大事なのは、目の前の言葉を載せる紙」というコンセプトから、この本のためだけの特別な紙を作ることから始めたというからその思い入れはハンパじゃない。

昨今デジタル化が進み、本の価値がないがしろになっている中、良い言葉を良い紙に良い装丁、デザインが組み合わさるというコンセプトに共感したのです。

なので2,160円という価格も決して高いと思わない「気持ち」で手に入れたものだった。



と、この詩集を熱く語っておきながら、実は全部読んでいなかったのです。
これこそまさにジャケ買いの典型的な例です。

汚れたカーペットを風呂場で洗って乾かしつつ、インクのついたページをひっつかないようにしながら全部読んだ。

う〜ん、世の中にこんなキレイな心を持っている人がいるんだな。
84歳になっても少年のままじゃないか。

でもこういう人って、ヤマメのように上流の澄んだ水にずっといなければならないような気もする。
わずかな風でも消し飛んでしまいそうな感覚のキープの為にそれなりの犠牲が必要なんだろうと考える。

インクが落ちた事によって、ようやっとこの詩集も読めたし、この機会にカーペットをやめて全面フローリングにしようと思った。

そういう転機にもなったので、今回のこの件はギリ悪くないと思えた。
思う事にした。










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