続きです。
カレーを食べつつ、後半はウイスキーを飲んだ。
真っ暗闇の中、波の音だけなので味に集中できるせいか、やけにウマかった。
ソロキャンプをするのには、普段から僕の様な一人で行動する人間でも少し抵抗がある。
それはキャンプ地に着いてテントを張っていたりする時だ。
まだ周りの目が気になるし、何でこんな事をしているんだろうと思ったりしてしまう。
だけど夜になり、闇が辺りを包むと全く関係なくなる。
そこはもう別の世界で、やっと日常から解放される。
逆に言えば、ここまでしてようやっとと言う事になる。
孤独な世界の入り口は抵抗があるが、入ってその空気に浸ってしまえば厳しくも根本的な自分と向き合えるし、日常の一人という認識が間違っていた事に気づく。
ただ、絶対に帰ってこなくてはならないと漠然ながら思う。
居心地がよくなり過ぎてはいけない。
カレーを食べ終わるとソロストーブは容器をどけて、たき火がわりにどんどん燃やした。
もう何もする事はなくひたすら酒を飲む。
一人で酒をこんなに長い時間普段飲む事はない。
でも10時くらいには本当に寒くなってきたので、テントに入る事にした。
とにかく食べ物を外に置いておかない様に全部見て回った。
足下がかなりふらついて、いい感じで酔っぱらっていた。

今回買ったアイテム、ランタンと寝袋。
ランタンはガス式にしようか迷ったが、やっぱり安全だし電池式にした。
これは安くてガス式よりは劣るものの、光量も申し分ないと評判のもので、確かに暗闇でも十分な明るさを発揮してくれた。
ただ今度は上に吊るせる様なポールを買おう。
寝袋は秋の寒さも耐えれるものを購入。
一応、商品説明でマイナス7度まで大丈夫だと言っているが、とんでもない、確かに以前持っていた奴よりは全然暖かいが、0度がいいところだと思う。
1〜2時間寝ては起きたりして、うまく寝付けなかった。
途中起きて1時間ばかりモンハンの村クエを消化した。
そんな時に、一度テントを
「ドンッ!」
と音をたてて叩かれた。
外から明らかに。
全身が止まった。
全ての神経をその音のした部分に傾ける。
犬か猫か、それとも、、、。
ここでやってはいけない事をやってしまった。
YouTubeでさんざん聞いた怖い会談話が、記憶のストックから溢れてきた。
最悪だ。
しかもとびきり怖いやつが押さえ込もうとすればするほど、蘇ってくる。
もうテントから出れない。
だけど、何か行動を起こさなくてはならない。
一応、護身用のダガーの位置を確認した。
いつでも手に取れる。
そして怖くてその叩かれた箇所を思いっきり叩き返した。
「ボン」とテントが揺れる。
何も起こらない。
1分ほど様子を伺う。
大丈夫か、、。
どうやら得体の知れないものは去ったのだ。
夜に勝つ。

そのうちにそんな怖い事も忘れて寝てしまった。
再び起きた時にはすっかり忘れて、用を足すのに外へ出た。
出てみるとそんなに寒さは感じられなかった。
用はちょっと離れたそこら辺でやった。
今回異常に回数が多くて、逆にこのへんぴな場所で助かった。
海を見ると遠くの方で漁り火漁の火が何隻も見えた。
ゆらゆらとのぼる小さな明かりをしばらく眺めていた。
午前3時でもまだやっていたから、あの漁師達は昼に寝るんだろうな。
そのあとテントを戻ってからはぐっすりと寝てしまった。
目を覚ましたら朝だった。
続きます。