引っ越して半月が経ち、未処理のダンボールもなくなり、ようやっと普通の生活を送れています。
棚には以前の部屋と同じように結局CDをズラっと並べる事になりました。
本を全部読み返そうと思っていますが、このCDも端から順に聞き直してます。
とりあえずランダムに突っ込んだので、同じアーティストがくる事はあまりありません。
そして、CDラジカセで聞きながら、ライナーを読むと言う高校生みたいな事をしています。
僕の場合、解説とか人からの刷り込み情報によって曲を理解します。
「曲」と「解説や詩」の割合が半々です。
ひどいものになると、音はどうでもよくなって、それよりその曲にまつわるバックグラウンドが大事だったりします。
最近聴いているのはビーチボーイズのペットサウンズです。
この超名盤を以前はあまり好きになれなかったのですが、今回改めて聴き直してみるとすっかりハマってしまって、ここ3日間くらい部屋でかけっぱなしです。
解説は山下達郎が書いていて、当時発売されたレコードの時と、後からCD化になった後に加筆を加えているのでえらい長さになっています。
とにかくビーチボーズと言うよりも、ブライアンウィルソンについて熱弁をふりまくり、20年たった後に加筆する時も同じかそれ以上の熱量で語ってきます。
おまけに1曲1曲丁寧に音楽的分析をしているので、その情熱ぶりは本当に圧倒されます。
さらにさらに熱狂的なブライアンウィルソンのファンの萩原健太と言う評論家が、山下達郎のライナーがあるのにも関わらず、まだしゃべってきます。
とにかくお二人ともブライアンウィルソンを神のごとく扱い、ベタ褒めで終始するわけですが、僕はこの希代の天才ブライアンウィルソンよりも他のメンバーだったり、スタッフが同じレベルまでよくついていったなと思ってしまいます。
一切の妥協を許さないあまりにもストイックな作業で、メンバーが少しでも能力的劣ると感じる時は外部の人間を使ったりしています。
ツアーに同行せず、サーフィンもできないこの男は一人黙々と曲を作り続け、大方出来た所でメンバーをツアーから呼び寄せ、声を入れさせた。
メンバーも最初は今までのビーチボーイズと違う楽曲に不満を言ったが、彼の熱意と、なにより今まで聴いた事のない素晴らしい曲の前に何も言えなかったのでしょう。
何でもビートルズのラバーソウルを聴いて、ブライアンウィルソンは焦ったそうです。
ここで書かれている表現として「感動」や「衝撃」などではなく、「焦った」としているのは同じ様な事をやろうとしていたのに、先を越されたと言う事なのかもしれません。
後にこの「ペットサウンズ」を聴いたビートルズのプロデューサーが、より完成度の高いコンセプトアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を作ったらしいので、お互い意識しあっていたのでしょう。
ただどちらも、全力出し切ったのか、これらのアルバムを作って下降路線に入っていったかもしれません。
ビーチボーイズはこの後「スマイル」というペットサウンズを越えようと試みたアルバムを作ろうとしたのですが、ブライアンウィルソンのドラッグ依存だったり、精神的不安定から未完のものになったそうです。
その後この「スマイル」を2004年にブライアン本人が改めて録音して完成させたそうですが、あの23歳の美しい声は失われていて、一部のファンから支持を得なかったそうです。
特に伸びる高音が出ないのが致命的だった。
その後ビーチボーズは紆余曲折あり、版権の裁判でもめたり、仲良くなったり、また別々になったり、メンバーの初期メンバーでブライアンの弟2人が死んでも「解散」という形はとっていないのです。
11曲目の「I Just Wasn't Made for These Times 」を山下達郎はベストトラックにあげている。
僕は今回改めて聴き直して、こんないい曲だったとは恥ずかしながら今まで感じられずにいた。
どの曲も他のアーティストでは聴く事のできない、不思議な魅力に溢れている。
思うに、、メンバーの中に「3人兄弟+従兄弟」がいたって事がかなり大きいと思います。
でないとあの息が合って、ぺったりと張り付いた美しいコーラスが出来ないと思う。とにかく底抜けに明るくて、ひたすらに切ないこのアルバムは、一般の人よりも特に作曲家達を魅了して止まない。
本当に美しい。
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