続きです。
結構遅くに学生の4人組らしき若者が近くにテントを張った。
テントというか、網状の屋根付きテントで囲っただけだ。
エンジンを切らないから車の音がかなりうるさく、ちょっとイラっとした。
雨もかなり降ってきたので、急ピッチで組み立てていた。
夜中はかなり遅くまで笑い声が聞こえてきて、楽しそうだった。
もうちょっと早くに来れば良かったのに。
僕はずっと小説を読んでいた。
まさか、こんな所で小説を読むとは思わなかったけど、やけに楽しかった。
時間の感覚も忘れ、沢から流れる水の音と若者の笑い声、そこに手元でひっそりと広がる異国の物語。
世の中に面白い小説があるわけではない、面白く読み取ろうとする読み手がいるだけだと思った。
この何もない状況の中で読むと本当に面白い。
そして夜がふけるとともに激しくなってきた雨。
かなりの強さでテントを打ってきたので、ちょっと心配になった。
若者たちの声も消させるほど降って、完全に閉じ込められた気分になった。
さらにあれだけ暑かったのに、寒くなってきた。
本当は朝に着替えようと思ったTシャツを2枚重ねで着込み、寝袋を肩まで覆う。
そしていつまにかドロの様に眠った。
雨音が何かについて考えさせる気力をどんどん奪って行った。
おそらく11時くらいには寝たと思う。
朝は5時くらいに起きた。
そして、びっくりするぐらい良く寝れた。
こんなにぐっすり寝れたのは久しぶりだった。
歯を磨きながら、むせ返る様な湿った木の匂いを嗅ぐ。
そしてキャンプ場をグルグル歩いた。
あの自慢のシステムキッチンを用意していた家族もみんなまだテントで寝ていた。
どのテントもバーベキューの片付けはしていなくて、食い散らかされたまま雨でズブ濡れだった。
あの魅惑的な宴はもう終わったのだ。
帰ってお湯を湧かして、カップラーメンで朝食。
食後にインスタントコーヒー。
改めて、こんなに美味しく作られているのかと思った。

しばらくテントで横になって面倒でグズっていたが、名残惜しむ様に片付けを始める。
組み立てるより、しまうのが難しいと聞いていたが、本当にそうだった。
でもこれで次からは大丈夫。
安いくせに昔のテントに比べてかなり簡単に作られている。
思っていた以上に楽だった。
あの夜遅く来た若者達は2人残して椅子で寝ていた。
後の2人はきっと車で寝たに違いない。
だけどこの雨の中で寒いのに良く寝れたと思う。
たぶん、テントの見張りに2人置かなくてもだれも盗んだりしないと思う。
何となく。
早朝過ぎて誰も他に片付けいる人は居なかった。
僕はそうそうに出て、母さんの用事をその日に済ませなくてはならなかったので、出発した。
門が締まっていて一度、車から降りて門を開けた。
運転し始めて一番驚いた事は、疲れがすっかり取れていた事だった。
キャンプって疲れたイメージしかなかったけど、あれはきっと火の周りで酒を飲んで夜更かししたからだと思う。
こんな健康的にやった事なかった。
とにかく、やってよかった。
帰ったら対策をたててまたどっか行こうと思います。
続く。
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