ここ手稲に居られるのもあと10日となり、あわてて行っていなかった店をあさってます。
昨日はしんとん飯店と言う本当に昔ながらやっている定食屋に行きました。
出前もしています。
たまにチラシも入ってきて大手飲食店が押し寄せる手稲で粘り強く頑張っています。
きっと出前をできるのが強みなんでしょう。
入店したら初老に近い店主と従業員に若い女子と男の子がいた。
きっと工大生のバイトだろうが、すっかり慣れたもんでサマになっていた。
メニューの種類が多く、けっこう迷ったが無難にしんとん定食なるものを注文。
あんかけ焼そばとエビチリなどオススメだけあって豪華だが、ごはんのおかず的にはエビチリしかないのでバランスが悪かった。
バイト達の教育がいいのかすごくハキハキしていて印象が良かった。
壁には2枚ほど大きいパネルに色褪せた写真がベタベタとランダムに挟まれていた。
きっと歴代の工大生の写真なのだろうが、昔はそんなに定食屋が無かったのか繁盛したのだろう。
僕の前の小上がりでは若いお母さんが幼い子供にごはんを食べさせている。
店主は僕の料理を作り終えると、その小上がりにいる子供の所まで行き、甘えた声で呼びかけていた。
もしかしたら孫なのかもしれんが、かなりフリーな空間だ。
そんな時、1本の電話が鳴る。
バイト君は電話に出て、元気よく注文を聞く。
どうやら出前だ。
それまでネコなで声をしていた店主が厨房に素早く戻る。
店内の空気が変わった。
サイレンが鳴ったように一気に。
ピリっと張りつめた良い緊張感。
トイレのドアの前に張ってある大きいボロボロの地図でバイト君が住所を確認。
すると奥から何ともう一人男のバイト君が出てきた。
こんな小さい店で3人も雇うとは大したもんだ。
よく見たら「しんとん飯店」と文字の入ったTシャツをみんな着ている。
新しく加わった男はもう一人の男と正確な住所を確認し合う。
そしてどの道を行けば早くてなおかつ安全かも相談し合う。
その間に店主と女の子は淡々と調理を進める。
緊急オペのように店主が細かく指示を出して、女の子もそれに応える。
店主の肩が激しく動いているのが少し見えた。
いいもん見させてもらっている。
5分くらいで料理ができた。
それを流れる様な手つきで女の子がラップをかける。
カウンター越しに男の子が皿を受け取り、昔ながらの出前の箱に入れて、すぐ裏手から出て行った。
吹雪いていたので少し風に混じって雪が店内に入った。
そしてまた先ほどまでのゆるい空気に戻った。
わからないが、おそらく、おそらくですが、この出前をみんな楽しんでいる様にも見えた。
とにかく4人の目指す想いが1点であったのは確かだった。
今度出前して待っている間、今回の風景を想像して楽しんでみようかな。
しんとん定食
★★★★★
星5です。
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