2013年10月1日火曜日

夕焼け積丹キャンプ 8

続きです。


朝は少し遅く、7時くらいに目が覚めた。
やはり海が近いのと銀マット一つでは下からの冷気に耐えられなく、結構寒かった。


朝日が山の向こう側から指してきた。



一度、外に出て轟々とうなる風を感じた。
風ってこんなに気持ちいいものとは知らなかった。

そして昨夜、テントをドンと叩いたものは風で甘く張っていた外側のカバーが外れたものだと気づいた。
一人でビビり、ナイフにも手をかけた夜。
そんな疑似体験も今思えば楽しかった




少しまだ寒いのでテントの中で湯を湧かしてコーヒーを飲む。
体が暖まる。
この景色を見ながら朝のコーヒーは贅沢だった。



とりあえず朝食をつくる為にソロストーブで火を起こす。


定番の目玉焼きと


ウインナー。


米も少し炊いて、ボーっとしながら食べる。
普段朝ごはん食べないのに。




だんだん日が昇るにつれて、暑くなってきた。
僕はキャンプした朝の歯磨きが好きです。
海辺を歯磨きとiPhoneで音楽聞きながらしばらく歩いた。



とにかく雲が多いのに快晴で、眼前に広がる光景は全てがダイナミック。
近くにベンチっぽい流木があって、しばらく寝ては空を眺めた。
その時、ランダムで聞いていた音楽が石狩挽歌に切り替わった。
この、なかにし礼の歌詞が好きで買ったものだったけど、あの高々と鳴るトランペットの冒頭がすごくこの景色に合っていた。


今回の積丹は僕が今まで見た景色の1〜2位を争うものだ。
こんなに美しく、誰かに見られているのとか関係なくて、全てのものがそれぞれ無関心に変化している。
少しずつ、どれも同じ場所にとどまる事がない。




そんな積丹を名残り惜しむ様にテントを片付けていたら、遠くでウェットスーツを着た人達が海に向って歩いていた。

サーフィンをしている。

初めてサーフィンをしているのを見た。
ボードの上にうつぶせで寝そべり、パドリングしながらかなり奥まで漕いでいった。

その光景をじっと見ていた。

10分くらい延々と漕いで、大きい波を待つ。
そして良さげなものが来た時にサっと立って、波に乗る。
その波に乗っている時間は約3〜5秒。

波に飲み込まれると、その一瞬がたまらなく面白いからまた漕いでいく。
海はそんな人達にあまりにも無関心だ。
それが面白いかどうかは人間が決めた事なのだから。


僕が今の住所に引っ越してきた時に買った謎の植物も葉が無くなり、復活の見込みが無さそうだったので捨てた。
今いる部屋で唯一の生き物だった。

その植物に根を張っていた岩に張り付いていた苔も全部取った。
水から出したら、見る見るうちに苔たちは死んでいった。
そして日が経つに連れ、あの黒々とした岩が真っ白になった。

少し後ろめたかったが、何となくもう別れなくてはならないと言う時期に感じた。

でもただ捨てるのは忍びないので、埋葬地を大自然で人気のない所と決めていた。
近くにあった縄を地中からズルズルと引っ張りだした。
それをしめ縄っぽく円で囲み、その中心に岩を置いて、今までありがとうと心の中でつぶやいた。
どこか遠い所で歯車がほんの少しグリっと回ってくれたらそれでいい。

この場所は僕の密かな居場所にしたい。
またここに来た時にコイツが迎えてくれるだろう。


続きます。






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