2013年10月17日木曜日

日高山脈ヨコキャン 2

続きです。

もう外は真っ暗で行く道はどんどん山の中になっていく。
ケータイの電波も圏外となり、辺りが暗くてわからないのもあって、どんどん不安になった。
音楽も止めていたので、普段気づかない車のトコトコと鳴っている音にも敏感になり、パンクしたのではないかと、車を降りてタイヤをチェックした。
大丈夫そうだったが、一応スペアのタイヤを路上で替えなくてはならない絵が浮かんだ。

おまけに天気が崩れ始めて、横殴りの雨が降り出した。
晴れマークしかなかったからここに来たのに、ここにきて追い打ちをかけてテンションが下がった。
雨だわ、暗いわ、疲れているわで、もう何か良い方向に考えれる状況ではなくなった。

とにかく旅先はあらゆる小さなトラブルもそこからどんどん広がって大惨事になりかねない。
と言うより思考がそのようなマイナス方面に向きやすい。
これは決して悪い事ではなく、常に何か見過ごしている問題点はないかと敏感になっているだけだ。

後で少し知った事だが、旅をする時は必ず小さな不安の累積でイライラしがちなので、カルシウム不足にならないよう気をつけた方がいいみたい。



そして延々外灯もない道を行く事、1時間。
ようやっと到着。
ここが札内川園地キャンプ場。

真っ暗でここがどういう場所なのか、全く判断がつかない。
車から降りると少し雨が混じった風がゴウゴウと吹いていた。
大地が「何をしにここに来た?」と言っているように感じた。
少し大きい声を出さないとお互いの言葉が通じないぐらいだった。


バンガローは一杯だと言っていたが、この風の影響もあり、フリーのキャンパーは少なかった。
僕らはとにかく風を防ぐために木のそばにテントを立てる事にした。
車のライトで照らしながらとにかく急いだ。
朝からずっと運転して疲れきった体にムチを打って荷物をおろし始めた。

そして二人でかなりのスピードでテントを作り始めた。
とにかく早かった。
もうこれで4回目ともなれば当たり前だが、ものの10分もかからずある程度出来上がった。

そんな早い組み立てに少し笑いがあったが、その時その少し浮ついた気分を消し去る様に突風が吹いた。

「ビューーーーーっーーーーーーーーーーーー!!!」


体ごともってかれそうな突風。
これは通称「山おろし」で高低差からくる気圧の変化が、ビル風と同じ様にくぼみに吹き付ける仕組みだ。
テントごと体が飛ばされそうになって、かろうじて二人で押さえた。
久々に危険シグナルがレッドになり、動転してまっていた所、友人が中止を訴えた。
お互い顔を見合わせて、笑ってしまった。
最終決断は常に任せていたので、すぐ僕もそれに従った。
もうテントをたたむことは出来ず、とにかく丸めて車に押し込み、逃げる様にキャンプ場を去った。


ピョウタンの滝やら、山々を覆う紅葉など一切見れずに去った。
大体が真っ暗で本当にどんな所だったのか謎のまま終わった。
そしてテントを立てずに撤退と言うのは初めてだった。

かなり残念ではあったが、中止となった以上、良く考えてみると、ここからテントを設営して、夕食の用意など出来る体力も気力も残されていなかった。
そういう意味では救われた感じにもなった。

とにかく、この夜をどうする? と言う問題が新たに出てきた。
選択肢は帯広市内に戻っての

・ビジネスホテル(4,000円くらい)
・カプセルホテル(3,500円くらい)
・旅館(4,500円くらい)
・24時間の健康センター(発見できず)
・漫画喫茶(3,200円くらい)

のどれかになる。

全部一通り調べたが、


値段的と先に見つけたので結局ココになる。

まさか今回、漫喫に泊まるとは思いもしなかった。。。
会員証を作るのにかなり時間がかかったが、とりあえずはあの吹き飛ばされそうな突風を体験してきたので、もう何も心配しなくてよくなったのは嬉しかった。



夕食はハンバーグ丼。
これって平日の昼間は100円らしい。
何かこの時点で普通の感覚になった。
それにしても普段の生活ってあらゆる物で守られいるのを実感する。

数ある部屋の中でも寝れるスペースが十分にある場所にしてもらった。
クタクタに疲れていたが、僕は中々寝付けず、ネットで明日の天気やらキャンプ地候補を他にも探した。

とにかく「風」は雨なんかより最も手強いものだと知った。
ネットで調べても風はどうにもならないらしい。
少し工夫して考えた人間の知恵など、何にも及ばないレベルがある。
それが今回重々わかった。

何度もジュースやコーヒーを飲み、モンハンをやったりで寝たのは3時くらい。
起きたのは6時30分。
それ以上いると予算的に割りが合わなかった。
ブランケット1枚は少し寒かったけど、贅沢言える身分ではなかった。

続きます。





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