2016年1月22日金曜日

がぶり名人

琴奨菊が調子いいらしい。




現在全勝は琴奨菊だけで、しかも嫌な対戦相手である白鳳、鶴竜、日馬富士の3横綱はもう倒してしまった。
もし優勝できれば日本人としては2006年の初場所で大関であった栃東以来となる。
10年も日本人が優勝していないのも驚くが、何と言っても横綱が貴乃花以来日本人から出ていないのだから。

一時は日本人の横綱がいない事と優勝すらもできない事に悔しい思いだったが、10年も遠ざかれば慣れとは恐ろしいもので、もうすっかりそんな熱い気持ちも忘れていた。
そこで出てきたこの琴奨菊はスター性がすごくある。

まず顔がいい。

これは意外と大事で、素朴な感じがすごく親しみやすい。
生い立ちも建設会社の息子だから裕福な環境で育ったのでどことなく品がある。
だから昔からある立身出世で貧乏からのハングリー精神と違い、純粋に相撲が好きでここまで上がってきたのだと思う。
このタイプは覚醒すると母国を離れてのし上がってきたモンゴル出身の力士にとって一番やっかいな存在いなるのではないか。



次にパフォーマンスがいい。


時間一杯になった時に両手を曲げて背後に反るあの闘争心あふれる姿。
まずここで観客の拍手がおこる。



そしてもう一つは水戸泉ばりに塩を豪快に上に投げる。
その塩の舞い方も形がきれいで、ここでも観客はさらに歓声をあげる。
彼にとってこういった人から見られている意識する行動をとると、その分だけ腹も座るように思う。

あとは取組だが、彼の得意技が「がぶり寄り」という事だ。

普通の「寄り」と違うところはしっかりとまわしをもって腰を相手の下腹部に密着させてジャンプするような感じで突き上げて行く。
ちょっと卑猥な感じもするが、こうする事によって相手は腰が立ってしまい、踏ん張れなくなってしまうそうだ。
この技は腰の負担も大きい上にかなり難しいらしく、意外と使い手がいないそうです。





だけど彼の「がぶり」は、もっと進化させたものでマワシを掴まない。

腕はもろ差しのように相手の脇に入れるだけ。
相手に腕をかんぬきのようにひねられたりして先端の手が裏返ったりするが、そんなのはどうでもよく、とにかく片手だけでも脇に入ってしまえばいいのです。
おそらくこれをやるのもすごい腕力がないと無理だと思う。

でもこれはマワシをとる必要がないのでとにかく速い。
立ち合ったっと思ったら速攻で彼の形になる。
観客もわかったもので、この形になったら歓声があがる。
そしてグイグイ下から突き上げられて身動きがとれなくなり、たまに身を引いて突き落としもよくやるので、もうどうにもできない。
負けた白鳳に「完璧だ」と言わしたほど、脱出不可能、難攻不落の必殺技が完成する。

まだ3日あるので気は抜けないが、あの「がぶり寄り」を攻略できるものはいないと思う。
彼が今場所で優勝して次の場所もまた優勝争いなどすれば、ちょっとした相撲ブームになるかもしれない。
そして10何年ぶりの日本人横綱の誕生も徐々に見えてくる。


と書いたあとで豊ノ島に敗れて1敗になってしまった!
なんでもっとガブらないのか!
優勝決定戦で白鳳をもう一度ガブるしかない!









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