母さんと二人でもうあのネコはかなりの年だから足腰が弱くなってきたという意見で一致していた。
なにしろ彼女の寝床であった押し入れの一番上になる秘密基地にはもうジャンプしていけなくなって久しいのだから。
だけど気づいてしまった。
以前ペット病院で切ってもらった爪がまた伸びていて一つだけ肉球に少し当っている事を。
母さんに定期的に切っておいてと言っておいたのだが、一つ見逃していたっぽい。
室内で飼われているネコは年をとると自分で爪を研ぐ様にならなくなってしまう。
というか、こいつが忘れてしまっただけかもしれない。
忘れてしまった習慣をもう一度覚えさせる事は不可能だ。
とにかく肉球にささりそうな爪は切らなければならない。
これが本当に怖い。
何が怖いかって、ネコの爪はタテに割れるし「メキメキ」と音を立てる。
あれが本当に嫌だ。
一応ネットで調べてネコの爪の切り方を見たが、神経まで切らないようにという余計な図をみてしまったので、もしかして「メキメキ」言っている中に神経が入っているのではないかと想像してしまうようになった。
ネコは終始きいた事のない低音の鳴き声を出している。
母さんがだっこして押さえつけている。
「大丈夫だ、大丈夫だ! 思い切って切りな!」
と言いながら、僕にやらせる。
爪が丸まっているのでハサミが爪と肉球の間に入らない。
だから少しずつ上の方から粉砕していく形で切った。
終わった時はどっと疲れた。
もうできれば二度とやりたくない。
だけど生き物を飼うという事はこういった身を削る責任を経験するからいい事かもしれない。
そのあとネコの歩きは軽快になった。
夜中に突然に普段絶対近づいてこないヤツが近寄ってきて「にゃー」と一声鳴いた。
そういう時はトイレにいく途中のふすまが開いてなかったり、ごはんや水がカラになっている時だ。
だけど両方とも見に行ったが問題なかった。
こんど母さんに本格的なネコ用の爪切りをアマゾンで買って送っておこう。
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