2018年3月18日日曜日

魅惑の1mgちゃん

一応、タバコをやめてから13年になります。

一応と言ってしまうのは、ここ数年でちょこちょこ人のを貰ったり、時には自ら買ってしまったりと吸ってはきたからです。
なので、常に身近にタバコがあり、毎日必ず吸う状態ではないけど、数ヶ月に1本たまに吸うというのが現状だったのです。

ですが、ここ最近「ついつい吸ってしまっている、いや完全に吸ってんなコレ」というのが続いています。
買うタバコは1mgの一番軽い銘柄何ですが、これを二日に一箱くらいで吸い出したのです。
そして今日この記事を書いている今は禁煙しています。

そう禁煙です。
つまり我慢しているのです。

いつもならやっぱりタバコはマズいで終わるのですが、今回は完全に違っています。
ここまでなっているのは今まで中々ないです。
なので今は喫煙者のゾーンに片足入った状態なのですが、その経緯やメカニズムを振り返って見たいと思います。

まず、最初の1本というのがあります。
ここは最初の出会いともあり、かなり重要な事件です。
僕の場合、世の中に出ているタバコの中でも一番軽い1mgを吸います。
もちろん元々はもう吸っていないのだから、吸った時に一番気持ち悪くならないというのが大前提にあります。
次に「タバコ=悪」という強迫観念から抜ける為にも、一番罪悪感を感じない、人に言われた時も「いや〜1mgだから〜」と言って吸っていない人たちからしたらどーでもいい言い訳を添えることができるからです。





昔は一度の浮気もなくラッキーストライク(12mgだったかな?)を吸い続けてきたので、当時何かのきっかけで1mgを吸った時はほとんど空気を吸っているのと同じ感覚だった。
そんな軽いタバコだからこそ、コレぐらい何だっていうのよ、と誰に半ギレしてるのかわからない、世界一無駄な男気から吸ってしまうのです。

次に今まで人から貰ったり、外で吸っていたものが部屋で吸うようになります。
だけど一度吸うことを絶った人間のほとんどが極度の嫌煙家になっているので、部屋にある衣服や物に匂いを移したくないのです。
だから当然、換気扇を回してその場所で吸います。
ブォーという隣の部屋の住人にも気を使ってしまう大きめの音を上部で出しながら、「こんなところで吸うなんて昔じゃ考えられないけどなー」と頭の中で呟きます。
まだあたかも普段自分は吸っていない側にいる感じを出しつつ。





そしてその次となると換気扇は回すのですが、その場所ではなく僕の場合マックに向かい吸い出します。
こうなってはもう完全に吸っている感じになります。
だけどまだ、まだ灰皿をビールの空き缶にしているとか、本格的にタバコを吸える環境や道具を置いていないという見た目にして、まだ喫煙者ではないという自分に向けての免罪符を発行し続けるのです。





ですがこうなっては時すでに遅し、次についに夜タバコがなくなった時、遊びで吸っている時は無いなら無いで平気なのですが、夜中でも面倒がらず歩いてタバコだけ買いに行くというようになるのです。
ここがおそらく終着地点。
ここまで来てしまうともう完全に吸いたいではなく、無くてはならないという人生の伴侶となりつつあるのです。
欲望から必要、恋から愛などと自分を形成するに当たって無くてはならない存在にまで大きな価値に変わっている。




しかしその蜜月もお別れの時が来ます。
初めはいいのですが、まずは大きい方が下痢気味になり、そのうち便秘になります。
生活のサイクルもいつまでも夜中まで起きてられるようになったり、朝の目覚めも偏頭痛とともに非常にイライラします。



殺人的な眠気が襲い、ガクッと気を失うように寝込んでしまうというのもあります。
つまり生活のリズムが崩れるとどんどん様々なパフォーマンスが下降します。
このパフォーマンスの低下を喫煙者は知らない。
元々低いパフォーマンスを1本吸うことによってその低いところまで戻すということを繰り返すのが喫煙生活なのです。
あとは心臓や肺、いたるところの内臓が時々変な痛さでシグナルを出して来ます。



お金も減るし、体調もパッとしなくなる。
何もいい事がない。
コレがタバコの正体であるものの、あの1本吸っている時の静かな時間を人は忘れられないのです。

そしてそれを味わう為にはある程度吸って、体を慣らさないといけません。
僕が思うその期間は3週間。
3週間毎日吸って、本当に美味しく感じるのは次の4週間目です。
すっかり毒で犯され、体の入れ替えが終わった内臓でないと美味しくありません。

そして冒頭でも書いたように今僕は禁煙中でその4週目の週末というわけです。
つまりもう昔のクリーンな人間では無くすっかりあの魅惑の5分間を知っている体なのです。
もし、今まだたまたま手元にタバコの箱があって1本残っていたとしら、迷いなど1ミリも無く、無駄に養ってきた都合のいい偉人たちの言葉、もっと大きい海のような考えで人生というものを考えろとかいう器のでかさを持って来て、いとも簡単に吸ってしまう事でしょう。





気をつけるポイントはまずはとにかく最初の1本です。
可愛い顔してたたずんでいる1mgちゃんと出会ってしまってはダメなのです。
ましてや部屋に入れてしまうなど言語道断です!





さあ、今僕は耐えています。
コンビニは往復で10分も満たない。
店員に132番と告げるだけで、今夜もあのゆったりとした魅惑の時間を味わえるのです。














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